著者は30歳で若年性乳がんを発症。
若くして闘病するってどんな感じなのだろうと思って手にした一冊。
P.56
で、それはいいとして、隣の女性は誰ですか?
…こんなコア・プライベート(ガン告知と治療方針決定)の場に居合わせるのだから、先生、紹介してくれてもよくないですか?
P.58
生きることも、子どもも、オッパイも、全部あきらめたくないんだ。
P.62
久しぶりにかかりつけ医へ。…実に3か月ぶりに訪れたわたしが「あの・・・結局、ガンでした」と言うと、大げさではなく心底驚いている先生。そりゃあ、自分の口で「80パーセントガンじゃない」と言い切っちゃってるんだもの...
P.72
病院って、どうして治療費の提示が会計時のみなのかしら?
P.79
「あのでも、以前の病院では抗ガン剤で80パーセント不妊になるって断言されたので・・・」。…3人の先生は顔を見合わせて「聞いたことある?」「いえ」。「え?乳腺の医師がそう言ったの?」。ざわざわ。…
P.154
まわりに「大丈夫?」と声をかけられるまで頑張る。とか「もう帰ったら」と促されるまで居座るというのは、結局周囲に「病気の人=出来ない人」ということを意識づけるだけ。…
「仕事仲間には、病状の報告はするけど愚痴らない」…仕事が出来る出来ない以前に、礼儀とマナーに対する効果ってすごいから。
P.224
彼もわたしも治療の長さに心底ウンザリしていた。これはもう「イベント」じゃなくて「生活」であり「日常」だ。
P.264
「だってさ、いくらガンだとはいえ当たり前な顔して病院行かれても、こっちも『はぁ、何様?』ってカンジじゃん!」。上司はケラケラ笑って、平手でわたしの肩をパシンと叩いた。
交際4年目を迎えた彼女は、誕生日に彼からのプロポーズに淡い期待を抱いていたが、プロポーズどころかまさかの乳がん告知。
前半は保険未加入だったことにより、治療費を稼ぐため仕事と闘病生活を両立させる大変さがつづられている。
闘病するにあたっては病院選び、お医者さんとの相性、知識等が重要なのだろう。
闘病しながら働くことに対して、周囲の理解度。寄り添ってくれようとする人、そうでない人。良いこともあれば口惜しい思いをすることもある。
すっかり闘病記と勘違いして読み進めていたが、この本のタイトルは「彼女失格」なのだ。
後半は怒涛の修羅場が待っている。
がんになると一番大変なのはもちろん本人なのだけれど、それを支える人も同じように大変なのだ。
精神的に余裕が無くなると誰しも、自分が一番大変でかわいそうと思いたくなるのかもしれない。
病気になってもならなくても、人生いろいろ。
最後の友人からの一言に涙。